コロナ禍の初期、父親をガンで亡くした。その折、火葬場というものに改めて興味を惹かれ、横浜市内の5つの火葬場の内、市営の4カ所の火葬場をモチーフに描いた。上空から眺める火葬場は、どこか古代の遺跡のようだ。
photo by 松本 力
森を歩きまわると所々木が倒れているのに出くわす。去年の台風かナラ枯れか、それとも寿命なのか。半ば森に沈んだ倒木の周りの下草や低木を少しずつ払っていく作業は、感覚的には「森」という素材から「倒木」というかたちを掘り出すという感じに近い。その作業から生まれる空間は、人と自然を橋渡しする「庭」なのかもしれない。あるいはこの作業は、いずれ朽ちて新たな芽吹きの養分となっていく木々への弔いなのかもしれない。
photo by RayThoma